この国の住民は他国からの居住者に限られている

バチカン市国は、イタリアのローマ郊外にある、世界で最も小さな国です。

日本のほとんどのテーマパークよりも、一回り以上面積が少ないので、その小ささは容易に想像できるでしょう。

しかし、この国は面積は世界最小であっても、世界情勢に大きな影響を与えるほどの強国でもあるのです。

この国のトップであるローマ法王の発言は、すぐに世界中のニュースで報道されます。

数年前は、ローマ法王がSNSを始めたことが、大きな話題になりました。

このように、法王の一挙手一投足が常に注目を浴び、世界各地で報道されています。

おそらく、法王は、世界で最も有名で影響力のある人物だと言えるのではないでしょうか。

このように大きな影響力を持つ国家ですが、この国の国民はおよそ600人程度しかいません。

その人々は、ローマ法王を頂点に、枢機卿や司教や司祭などの聖職者、あとは彼らを守る傭兵だけです。

実は、この人々は、バチカン市国の国籍の他に、生まれ故郷の国の国籍も併せて持っています。

カトリックの聖職者は妻帯が禁じられているので、彼らがこの国で子どもを産み育てることはありません。

ですから、この国の国民となる人は、他国からの居住者に限られているのです。

ですから、この国の国民性について、簡単に説明することはできません。

彼らは、世界中のさまざまな国の出身なので、それぞれに異なる国民性を有しているのです。

この中には、日本人の枢機卿の方もいらっしゃいます。

アジア人からヨーロッパ人、アフリカや中近東、アメリカ大陸の出身者など、まさに多様な人種の寄せ集めで生まれた国が、バチカン市国なのです。

このように、聖職者の出身国は、世界中にまたがっていますが、傭兵の出身国はスイスと定められています。

イタリアにありながら、なぜスイス人の傭兵を雇うのか、疑問に思う人も多いでしょうが、これには歴史的な背景があるのです。

今から約五百年前のイタリア半島は、さまざまな都市国家が争いを繰り返し、まさに日本の戦国時代のような群雄割拠の状態でした。

法王の権威は地に落ち、バチカンが敵国に襲撃されたところ、身を挺して法王を守ったのがスイス出身の傭兵たちだったのです。

彼らは全員が戦死しましたが、法王は彼らの献身と善戦を称えて、今後、法王を守る傭兵はスイス人に限る、と定めたのです。

彼らの活躍をふりかえれば、献身的でひたむきに相手に尽くすことが、バチカン市国の国民性と言えるのではないでしょうか。